導入およびサンプルデータの紹介
今回は、「数値が経時的に推移しているデータ」のグラフ作成についてご紹介します。
例えば「とある自治体における人口の変動」というものですね。
できれば四半期ごとよりも毎月の粒度の方がいいなと思っていたところ、那覇市のオープンデータにちょうど良いものがCC-BY-4.0で公開されていましたので、これをベースにTableauでそのまま使える(=ユニオン等の工程を省略)サンプルデータを作成しました。
こちらのExcelデータをデータソースにしていただき、以下の手順をなぞってください。
あ、最近は文章量がどんどん増加している傾向にある気がするので、今回はなるべくテキストは減らして手順を記載します。
実例1: シンプルな経年変化の折れ線グラフ
「調査年月日」を右クリックしながら列シェルフへドロップし、「月」(緑色の方)を選択してOKをクリックします。
「総人口」を行シェルフへドロップ(こちらは左クリックでOK)します。
折れ線グラフとして時系列に沿った人口の推移が表現できました。
実例2: シンプルな経年変化の棒グラフ
「実例1: シンプルな経年変化の折れ線グラフ」セクションで作成した折れ線グラフの「マーク」を「棒」に変更します。
折れ線グラフに戻したい時は「マーク」を「線」にしましょう。
実例3: 前月との増減を表現する線グラフ(簡易表計算)
「実例1: シンプルな経年変化の折れ線グラフ」セクションで作成した折れ線グラフの「総人口」をクリックし、「簡易表計算」から「差」を選択します。
なお、このグラフは解説のためにあえて作った途中経過のものであり、増減を正確に表現できていません。
- 「前月との」差を表しているため、最初の調査年月(2019年1月)が表示されていない
- 実際は減少傾向にあるのに、「前月よりもプラス」になってさえいればグラフは上昇しているように見える
- 2019年1月: 322,653人
- 2019年2月: 322,605人(前月比 ▲48人)
- 2019年3月: 321,094人(前月比 ▲1,511人)
- 2019年4月: 321,515人(前月比 +421人)
実例4: 最初の月との増減を表現する線グラフ(簡易表計算)
「実例3: 前月との増減を表現する線グラフ(簡易表計算)」セクションで作成した折れ線グラフの「総人口」をクリックし、「基準」から「最初」を選択します。
2019年1月時点の人口を基点として、以後の調査年月時点の総人口がそれよりプラスなのかマイナスなのかを表現できました。
また、こちらのグラフではきちんと2019年1月から線がスタートしています。
実例5: 最初の月との増減を割合で表現する線グラフ(簡易表計算)
ここでいったんシートを「複製」しておき、新しいシートで作業を進めると良いでしょう。
「総人口」をクリックし、「簡易表計算」から「差の割合」を選択します。
「実例3: 前月との増減を表現する線グラフ(簡易表計算)」セクションと同じような折れ線グラフ、ただし軸の部分が異なるものができました。
先ほどと同じように「総人口」をクリックし、「基準」から「最初」を選択します。
こちらも「実例4: 最初の月との増減を表現する線グラフ(簡易表計算)」セクションと同じような折れ線グラフ、ただし軸の部分が異なるものができました。
コラム1: 「差」と「差の割合」のどちらを用いるべきか?
軸が違うだけで「同じような折れ線グラフ」なら、どちらを使ってもいいんじゃないか?と思われるかもしれません。
しかし、線が1本であれば問題ありませんが、ディメンションにより線を複数に分ける場合などに表現の結果が異なる可能性があります。
「実例4: 最初の月との増減を表現する線グラフ(簡易表計算)」セクションで作成した折れ線グラフの「色」に「地域名」をドロップします。
「本庁」「真和志」「首里」「小禄」の4地区に折れ線グラフが分かれました。「真和志」地区の減少数が特に顕著のようです。
では、同じように「実例5: 最初の月との増減を割合で表現する線グラフ(簡易表計算)」セクションで作成した折れ線グラフの「色」に「地域名」をドロップします。
こちらも「本庁」「真和志」「首里」「小禄」の4地区に折れ線グラフが分かれました。割合で見ると、「真和志」地区よりもむしろ「首里」地区の減少率が大きいようです。
ダッシュボードにこれらの2つのグラフを並べてみると、「小禄」地区も実は減少率が大きくなっていることが分かります。これは、各地区のもともとの人数規模に差があり、2019年1月末時点と2024年12月末時点を比べると、
- 本庁: 100,091人から98,761人=▲1,330人(▲1.33%)
- 小禄: 59,766人から57,903人=▲1,863人(▲3.12%)
- 首里: 57,308人から55,130人=▲2,178人(▲3.80%)
- 真和志: 105,488人から101,630人=▲3,858人(▲3.66%)
というように、「小禄」地区は減少数は「本庁」地区に近いのですが、分母となる地区人口が大きく異なるため、減少率は「本庁」地区よりも他の2地区に近い状態であるということになっています。
そのため、MKの場合は、基本的に「差の割合」で折れ線を表現し、「差(の数字)」はラベルやツールヒントで補足するというやり方にしています。
(ここで本記事は終わりではありません。以後も実例をいくつか追記予定です)
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